鉄錆びを防ぐリン酸処理とは?
鉄や銅といった金属は、耐久性と柔軟性に優れ、工業製品には欠かせない素材です。しかし、水分に触れると錆びやすいという弱点があることも否定できません。そこで、金属の表面にメッキなどの加工を施すなど、錆びを防ぐ工夫が必要です。中でも、リン酸処理は、鉄・亜鉛メッキ・アルミ系製品の錆びを防ぐうえで極めて有効な方法だと言われています。リン酸処理の内容は、金属の表面にリン酸イオンと金属イオンの溶液を塗布することによって被膜を作り、空気中の水分と直接触れないようにして錆びや腐食を防止するというものです。
メッキを被せても、衝撃や経年劣化により剥がれた部分から錆びや腐食が生じてしまいますが、リン酸処理した金属は化学反応によりできた保膜が表面を覆っているため、上辺を包んだだけのメッキより錆びにくく、たとえ傷付けられても錆びが広がりません。リン酸処理を施した金属は塗装が剥がれ落ちにくくなるので、塗料を塗る前に処理されます。
リン酸処理における消泡剤の役割
リン酸処理は、錆びを防ぐ被膜を生成する一方で、リン酸と金属が化学反応することによって水素ガスを発生させます。この水素は空気中に放散されず、リン酸鉄などの表面膜の中に気泡として残留してしまうことが少なくありません。このように表面に残った気泡は、見た目が醜悪で手触りも不快なため、消泡剤を用いて除去するか発生を防止することが必要です。リン酸処理用の消泡剤に含まれている界面活性剤や高分子化合物は、気泡を発生しにくくする作用を持っています。ただし、リン酸処理に使われる消泡剤が、金属やリン酸と反応して黒ずみ等が生じないよう、金属やリン酸に対して不活性な消泡剤を選ばなければなりません。
砕いた大豆を加熱すると泡が生じますが、この泡は美味しい豆腐を作る妨げとなってしまいます。この泡を消すために消泡剤がよく用いられます。