リン酸処理の基礎!方法や用途についても解説


リン酸処理ってなに?

多くの金属は、そのままの状態で長時間空気に触れていると表面から酸化し錆(さび)が発生します。この錆は、金属製品の劣化に繋がり耐久性を低下させます。そこで有効なのがリン酸処理(リン酸塩皮膜処理)です。金属表面を薄い皮膜で覆い錆が広がるのを防ぐのです。

リン酸処理の種類とその用途

リン酸処理にはいくつかの種類があり、用途によって使い分けられています。リン酸亜鉛処理は高い耐食性と密着性を特徴とし、最も多く利用されている方法です。溶液には主にリン酸イオンと亜鉛イオンが含まれます。耐久性を要するガードレールや自動車部品、エクステリア用品などに高い需要があります。リン酸カルシウム処理は鉄鋼製品に使われる方法です。溶液の主成分はリン酸イオン、亜鉛イオン、カルシウムイオンで、処理温度が80度から90度と高いため高温で焼き付ける塗装の下地に向いています。また、冷間鍛造の潤滑皮膜としても使用されます。

リン酸鉄処理は、リン酸亜鉛処理よりも耐食性は劣りますが密着性は悪くなく比較的安価なため、鉄鋼製品の塗装下地として広く使用されている方法です。溶液の主成分はリン酸イオンで、特徴は1マイクロメートル以下と非常に薄い非晶質の皮膜(リン酸鉄)が形成されることです。干渉色により見た目が青色や黄色となります。リン酸マンガン処理は優れた耐摩耗性と潤滑作用を特徴としており、自動車部品(ギア、ピストン)や油圧高圧摺動部品に使用されます。溶液の主成分はリン酸イオンとマンガンイオンです。

リン酸処理は私たちの生活に欠かせない「隠れた技術」

リン酸処理はさまざまな工業製品に欠かせない技術です。自動車部品やガードレールなど私たちの身近にもこうした見えない技術が使われ、暮らしを支えてくれているのですね。

リン酸処理は液体の管理が重要です。人体に影響を与えないように保護具や換気の徹底や環境に悪影響を与えないように自治体のルールにしたがって処分することです。

Share